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世界最大の海運国で水産拠点のパナマ
パナマは、北海道ほどの小さい国土面積でありながらも太平洋と大西洋を繋ぐパナマ運河によって世界の貿易運輸に大きな貢献をしてきた。 この立地条件を利用した貿易業や海運関連サービス業などを土台としてさらに銀行業が栄え、ラテンアメリカにおける貿易拠点及び金融拠点として発達した国となった。 また一方では、パナマの優遇税制を利用するための外国船主による船籍登録が進み、その結果、1991年からパナマは世界一の船舶所有数を誇り、世界最大の海運国となっている。 (2014年船舶数は約8,600隻)
日本は、世界商船の総隻数の約18%にあたる2,535隻、15.000万総トン規模の外航船をもっているが、このうち日本籍船(日本の海運会社所有)となっているものは、107隻に過ぎず、実に2,428隻が外国籍船となっている。 そしてこのうち約半分がパナマ船籍で、パナマは日本の商船を最も多く預かっている国でもある。
そして一方、パナマは、太平洋と大西洋の二つの大洋で水揚げされて入ってくるマグロ・カジキ類等の水産物の物流拠点ともなっており、スポーツフィッシングとしてもパナマはカジキやマグロの世界有数の釣り場として知られている。
2. パナマのカツオとパナマ人
カツオは、日本ではマグロとは別の食材に分類されているが、世界的には英語でSkipjack tuna と呼ばれてマグロの一種にされ、マグロと一緒にツナ缶の原料にされている。
ツナ缶業界は、世界最大の工場はタイのバンコックにあり、2番目は南米のエクアドルにあるが、ここエクアドルで加工されるのカツオマグロ原料は、4000トン級のエクアドル漁船団がパナマ沖を漁場として圧倒的な量の水揚げから加工され輸出されたものがエクアドルの国の経済の最大収入源となっている。
パナマでは2種類のカツオが一般に獲れている。
1) ホンガツオ
パナマの近海沖で操業している4000トン級の大型マグロ・カツオ船では5~20キロ級のホンカツオが50トン~100トン規模で捕れているが、腹に縞模様がはっきりと見られるホンガツオである。
2)パナマの沿岸巻き網漁の漁師たちがサバやアジ類の魚を獲る巻き網に一緒にかかるカツオは、Black Skipjack Tuna と言われる小型カツオである。 パナマ沿岸で獲れるBlack Skipjack Tunaは2~3キロのものが多く、脂はあまりのっていないが、うまみが濃く、非常に美味である。 刺身で毎日食べても飽きない。

パナマの伝統的旋網漁 METODOS TRADICIONALES DE PESCA EN PANAMA
PESCA CON RED EN CERCA


3.本事業の発端、主催者
パナマ人からの依頼によるプロジェクト
本計画は、地元の水産関係者と海運関係者から水産事業の活性化を依頼されたものをベースとしており、パナマ人零細漁業従事者のための事業計画である。
一方では、冷凍カツオが世界的な漁獲量の減少で国際相場が上昇基調にあり、国内相場もバンコク相場の上昇に加え、国内漁の不振も影響して強含んでいる。加工筋によると、中小企業を中心にカツオ原料が不足気味になっているおり、すでに台湾の企業がパナマ国内に冷凍工場を設置して地元でカツオを買い集めて冷凍梱包し出荷しているが、市場先は日本ということである。
このような経緯のもとに、現地では一般人にほとんど消費されず、利用されていない豊富な資源であるカツオを、現地の漁師たちに獲らせ、冷凍処理してこれを消費活用する日本、あるいはタイ、エクアドル等の市場へ送ることで、それらのカツオの需要を支え、同時にパナマの漁民に新しい収入の可能性を開くことで貧困を減らす対策として提案するものである。



4.パナマのカツオ漁の可能性と国際市場
パナマ近海の魚類は1月から6月までの夏には大型のマグロやカジキ類が南極から上がってくるフンボルト寒流に乗ってやってくるが、赤道上を太平洋の中心からパナマに向けってやってくるクロンウエル暖流にのってアジやカツオ、ブリなどがやってきて、これらの中小サイズの魚は年中獲れるところとして知られている。 特に、パナマ近海の太平洋沿岸に豊富に見られるカツオは当国の食習慣の食材には入っていないため、漁業活動の対象にもなっていない。
パナマ人が消費するのは、スズキ、タイ、シーラ、ブリ、アジ類などの白身魚が主で、マグロやカツオなどの赤身魚はエクアドルやペルーの遠洋漁業船で獲られそれらの国のツナ缶工場に持っていかれている。

5.カツオの水揚げ量と取り扱い規模(目標)
日本では、一般に日本近海で一本釣り漁で捕獲されるのが刺身やタタキにされる鮮魚として販売されている。そして他方、近海で巻き網漁や、赤道近くの遠洋で巻き網で捕獲され冷凍にされたカツオはカツオ節用に国際相場で取引されている。
パナマは、3つの海流の折り返し地点となっているので、カツオ資源は豊富にあるので、あとはこれを日本の市場がみとめられる条件にするために、パナマ人がいつもやっている旋網漁をカツオ漁用に改善し、日本人漁師の指揮下で漁をするのであるが、冷凍庫を内蔵した100ton船を母船として、2~30 ton.規模の巻き網船を2隻組んで船隊で操業すれば1日に10トン以上は可能となり、もともと地元のボートでの旋網漁でもカツオを問題なく取れるので、旋網船との2本立てで船団を組んで1週間巡回すれば、5~60トンは水揚げできるかと思われる。
あとは、冷凍コンテナの輸送船に乗せるか、または日本から輸送船を定期的に行き来させる輸送体制を整備できれば、年間2500トン以上のカツオを輸出することが可能となり、カツオ節加工用から品質の高い刺身用まで、最低でも4億円(加工用国際相場)から日本市場の高値相場で20億円以上の規模の売り上げにもなる可能性をもっている。

108 ton
冷凍庫船
初期船団の体制
1) 100トン冷凍集荷船x1隻
2) 20 ton旋網船 x1隻
3) 船外機ボート x6隻

20 ton
旋網船
30 ton
旋網船

旋網漁に出掛けるボート船団

