
外国人雇用制度
2027年度より始まる新規制度
編集:G.I./ 2025.6.16
外国人育成就労制度
1. 外国人育成就労制度とは
2024年6月14日、技能実習に代わる新たな制度「育成就労」を新設するための関連法の改正が、国会で可決・成立しました。
新たな制度運用の詳細については、未だ明らかではありませんが、これまでに公表されている制度の概要は、以下のとおりです。
育成就労制度の目的
2023年11月の「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」による最終報告書では、「技能実習制度を実態に即して発展的に解消し、人手不足分野における人材の確保と人材の育成を目的とする新たな制度を創設」することが提言されました。
これを受けた今回の法改正により、「技能実習法」は「育成就労法」へと抜本的に改められ、また、法律の目的も、「開発途上地域等の経済発展を担う『人づくり』への協力」から、「特定技能1号水準の技能を有する人材の育成」、「育成就労産業分野における人材の確保」に改められました。
技能実習制度との比較
今回の法改正で、本来は帰国を前提として、通算最長5年の在留が認められた「技能実習」の在留資格は廃止され、代わって、「特定技能」への移行を前提とする「育成就労」の在留資格が設けられ、同資格で在留が認められる期間は原則3年以内とされるなど、制度は大きく改められました。
育成就労制度は、育成就労外国人が育成就労産業分野において就労(原則3年以内)することにより、特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的としています。
育成就労産業分野は、特定技能制度の受入れ分野である特定産業分野のうち、就労を通じて技能を修得させることが相当なもの、となります。在留資格は「育成就労」です。
育成就労外国人受入れの方式
①単独型育成就労:
日本の企業等(単独型育成就労実施者)の外国にある事業所の職員が、日本にある事業所で技能を修得しながら業務に従事
②監理型育成就労:
日本にある事業協同組合、商工会等の非営利法人(監理支援機関)によって受け入れられ、傘下の企業等(監理型育成就労実施者)で技能を修得しながら業務に従事
育成就労計画の認定
育成就労実施者は、育成就労外国人ごとに「育成就労計画」を作成し、外国人育成就労機構による認定を受けなければなりません。
監理型育成就労においては、育成就労実施者が監理支援機関の指導のもと「育成就労計画」を作成する必要があります。
監理支援機関の許可制
育成就労外国人と育成就労実施者の間の雇用関係の成立のあっせんや、育成就労が計画にしたがって適正に実施されているかどうか監理を行う監理支援機関は許可制となります。許可基準には、監理支援事業の遂行能力や財政基盤のほか、外部監査人の設置などがあります。
また、監理支援機関は育成就労実施者と密接な関係を有する役職員を当該育成就労実施者に対する業務に関わらせてはならないこととされているほか、監理支援責任者の選任も必要です。
育成就労外国人に求められる技能レベル
就労開始時までに日本語能力A1※1相当以上の試験合格又は、それに相当する日本語講習の受講
就労開始後1年経過時技能検定基礎級等+日本語試験(A1相当以上の水準からA2※2相当以上の水準までの範囲内で分野ごとに設定)⇒合格が本人意向の転籍の条件
特定技能1号への移行時技能検定3級等又は特定技能1号評価試験+日本語能力A2相当以上の試験合格。 なお、特定技能1号への移行に必要な試験等に不合格となった者は、再受験に必要な範囲で最大1年の在留継続が可能です。
※1(日本語能力試験N5等)
※2(日本語能力試験N4等)
受入れ環境の整備
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季節性のある分野においては派遣形態による育成就労の実施が認められます。
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育成就労外国人は、やむを得ない事情がある場合の転籍のほか、同一業務区分内での本人意向の転籍も一定要件のもと認められることになります。
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転籍の際の職業紹介については、監理支援機関のほか、外国人育成就労機構、ハローワークが支援することになります(民間の職業紹介事業者は関与できません)。
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送出国と二国間取決め(MOC)を作成するほか、外国人が送出機関に支払う手数料が不当に高額にならない仕組みが導入される予定です。
*2025年4月末時点の情報


